ベースライン調査地区/研究協力者

最初の調査は、全国45地区に住む方達約12万人を対象に行われました。 1988年から90年の間に自記式問診票への記入をお願いし、生活習慣を把握しています。そのうち調査の時に40~79歳だった方が110,792名(男46,465名、女64,327名)いらっしゃり、基本的にその方達を追跡対象としました。

北海道 3町
東北 5町
関東 5町
中部 1市 3町 2村
近畿 8町 2村
中国 1市 1町
九州 4市 9町 1村
合計 6市 34町 5村
(四国はなし)

45地区のうち22地区では、その地区に住んでいらっしゃる当該年齢の方全員を調査対象としました。20地区では、老健法に基づく検診を受診なさった方を調査対象としました。2地区は、そのような検診を受診した方に加えボランティアの方も含めて対象としました。残る1地区では、被爆者検診受診者を対象としました。


中間調査対象地区/研究協力者

31地区では、ベースライン調査から約5年後に中間調査を実施しました。最初の調査の対象になった方全員を対象とできた地区が少ないこと、転出などでコンタクトの取れない方がいらしたことなどから、ベースライン調査協力者のうち約5万人の方から情報をいただきました。 中間調査では、既往歴、食習慣や喫煙習慣について、特に5年間の変化に注目して調査を行っています。この時には、血液の採取はありませんでした。


情報の取り扱い

全ての情報は、各施設でコンピュータに電子情報として入力され、氏名や住所を除いた電子情報が事務局(名古屋大学医学部予防医学)に送付されました。事務局では、個別のデータに遡ることなく、全体の情報をまとめています。


インフォームド・コンセント

原則として、調査票の表紙に「調査への協力のお願い」として研究の説明をし、それぞれの方から署名をいただくことで、研究内容の説明と同意としてきましたが、一部の地区では、地域の代表者への説明と了解の返事をもって、研究が進められました。 調査票ベースによる研究については、36地区で個別(うち1地区は口頭での同意)に、9地区では代表者による同意を得ました。 また、生体試料(血清)の利用については、25地区で文書による同意、6地区で口頭同意、1地区はポスターにより周知し申し出により対象から除外(opt out)とし、5地区では代表者による同意を得ました。


追跡調査

亡くなられた方の情報は、1-2年に1回総務省に人口動態統計資料の目的外利用申請を行い、死亡小票をベースに 死亡年月日、死因を把握しています。対象地区からの転出は各施設で市町村と協力して調査されています。24地区では、地域のがん登録や主要病院への照会などにより、がんの罹患情報(部位、組織型、罹患年月日、手術の有無など)も把握し、単にがんで死亡するリスクだけでなく、がんになりやすい要因の検討もできるように進めています。どの情報も氏名や住所など個人を容易に特定できる情報を外した形で事務局に集められています。


解析

がんの死亡や罹患者の数がある程度の数に達した部位から、委員会内にグループを組み、研究者同士で討議を重ねながら、解析を行い、結果を公表しています。現在までに、胃がん、肺がん、大腸がん、肝がん、膵がん、胆がん、前立腺がんに関連する要因が示されていますし、循環器疾患や全死亡に注目した解析も進めています。


倫理審査

このコホート研究に関するさまざまな問題は、研究開始当初から、研究参加施設と研究協力地域の代表者等との間で話し合い合意されてきました。しかし、特に倫理上の問題に関しては、社会的に制度が整備されてきたことに伴い、研究全体の適切性について、2000年に名古屋大学医学部倫理審査委員会で倫理審査を受け、承認されました。