JACC Studyは文部省(当時)科学研究費の助成を受けて、1988年に開始されました。このコホート研究は24施設45地区、約11万人の皆さまの協力を得て、日本人の生活習慣ががんとどのように関連しているかを明らかにすること、それにより、近年著しく変化してきた生活習慣の中からがんの発生や死亡に関連する要因を明らかにし、日本で増加しつつあるがんの死亡や罹患に対する予防対策に資することを目的としてきました。さらには、がんにとどまらず、循環器疾患や呼吸器疾患による死亡、あるいは全死亡などと生活習慣との関係を検討し、数多くの結果を専門誌などに報告しています。

JACC Studyでは健康とのかかわりを検討するために必要となる死亡、転出、がん罹患状況を住民基本台帳、死亡小票、がん登録等の情報を用いて追跡してきましたが、2009年末で追跡調査を終了いたしました。1980年代後半の生活習慣等が、その後約20年の健康(死亡)にどう関連するのか検討できる大変貴重なデータです。

そこで、JACC Studyで用いている標準的な調査票項目を用いて調査が行われた地区に住み、調査開始時点で40~79歳であった約8万人の方のデータを誰のものかわからない状態にしたうえで、SSJDA(東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター)に寄託することにいたしました。寄託するデータは、ベースライン時の調査票情報、基本属性(性、年齢、調査年月)、死亡・転出の有無とありの場合はその発生年月です。

皆さまの協力と国からの研究費の投入により実施された大規模なコホート研究JACC Studyのアーカイブ化により、①データの散逸を予防することができる、②実際の大規模データを用いた大学や大学院等での疫学教育に役立つ、③新たな視点からの研究が行われる、ことが期待されます。寄託したデータを利用できるのは大学や公的研究機関に所属する研究者等に限定されます。また、研究にデータを用いたい研究者はSSJDAに利用申請を提出することが必要です。当面は、我々JACC Study関係者が申請内容を確認したうえで承認の可否を判断します。
(SSJDAに関する情報は以下のサイトで確認できます。http://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/ssjda/about/

なお、データの寄託にあたっては、北海道大学大学院医学研究院に設置された医の倫理委員会の承認を受けています。